黙認が終わった街

変わる

生まれ育ち、今も住んでいる私の市には、
3年前まで非合法の風俗街がありました。
戦後まもない1950年頃に営業が始まり、
1958(昭和33)年に売春防止法が完全施行されたのですが、
そこだけは存在を知られながら、
令和の時代まで生き残りました。
一斉閉店したのは2021(令和3)年、
なんと70年もの間、見て見ぬふりをして、
社会で暗黙の了解とされてきたのです。
警察が摘発してもすぐに営業を再開される、
「いたちごっこ」だったようです。

2021年11月、
市長と警察署長の公印が押された警告書が
何の前触れもなく風俗街の代表に渡され、
70年も社会に黙視されていた30もの店舗が
一日にして姿を消すこととなりました。
なぜ警告に踏み切ったのか、
理由はいくつかあるようですが、
暴力団排除の観点も大きな理由のようです。
風俗街側は表向きには暴力団と無関係を掲げていましたが、
非合法な存在である限り、
反社会的組織がつけこむ可能性は十分にある、
というのが警察の見方だったようです。

当時風俗街で働いていた人達は
毎日ギリギリの生活、
突然仕事を失い、
生活の源が無くなり、
明日の生活をどうしようかと
路頭に迷ってる人ばかりだったとか。
「私らの商売ってこんなもんなんかなぁ」って。

違法な営業ですから閉店するのは当たり前です。
ただ働いていたのは一人の人間ですから、
その人達の人生、生活を考えると、
もっと早くから手立てはなかったのか、
少し複雑な気持ちになります。

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