ある墨彩画家の先生は子どもの頃、
書道も絵も通知表は1か2だったそうですが、
中学校の教頭先生の言葉が、大きな教訓となったそうです。
国語の先生がお休みで教頭先生が授業をされた時、
「今日は習字をやろう」と言われ、
半紙を1人20枚ずつ配り、
「横棒の一だけを書きなさい。一に決まりは無いから、
何も考えずにあなたの一だけをひたすら書きなさい」
と言われたそうです。
字が嫌いで憂鬱な中、ひたすら書いていたそうですが、
その間何度も褒められ、
一という文字をかいただけなのに褒められたことは、
目からうろこが落ちるようなうれしい体験になったそうです。
教頭先生は最後に、
「文字はすべて、この一の組み合わせなんだよ。
だから素晴らしい一を書ける人間に
素晴らしい字が書けないわけがない。
書けないのは格好いい字を書こうとか、見本通りに書こうと思うからで、
一本一本想いを込めて書くだけで、
自分にしか書けないすばらしい字が出来上がる。
このことは人間の生活すべてに当てはまることなんだよ」
とおっしゃったそうです。
すてきな教頭先生です。
確かに字を書く時、
丁寧に書くことより、評価を気にしてしまいます。
そして周りと比較して自分はだめだなぁと思ってしまいます。
でもそうではないということを、教頭先生は伝えたかったのだと思います。
自分のありのままを大切にしながら、
自分なりの一歩を積み重ねていけばいいんだと。
「素晴らしい一を書ける人間に素晴らしい字が書けないわけがない」
という言葉は、
誰にでも色々な可能性があるのだということを教えてくれ、
自分も可能性を信じてがんばってみようと思えます。
この話は、
何をするにも「上手くやらなきゃ」とか
「正解通りにやらなきゃ」と思いがちな人にとって、
すごく勇気をくれる話だと思います。
私もそういうタイプなので、とても励みになりました。
一を書くというような、誰にでもできるシンプルなことが、
実は大きな意味を持つということにも気づきました。
周りを気にしすぎて行き詰まった時には、
この話を思い出そうと思います。