30年前の1月17日、
阪神・淡路大震災が起きました。
震度7の経験を今でも思い出します。
これを機に日本でも、
トリアージが実施されるようになりました。
当時の病院の状況をテレビ番組で見て、
考えることがたくさんありました。
ある病院で
心肺蘇生が必要な被災患者さんがたくさん運び込まれたが
蘇生しても回復しない、
いつまでやればいいのだろう、
やめることを自分が判断するのだろうか、と
医師達が不安になった時、
外科部長が叫んそうです。
「やることやって、あかんかったら、次の人を助けなあかん」
「助けられる人を助けないかん。もう助からない人は諦めな。」
「やめなさい。ストップ。次の人にかかろう」
当時の日本は
まだトリアージがあまり知られていなく、
若い医師達は初めての経験だったそうです。
蘇生をしていたある医師は、言葉は悪いが、
この判断はありがたかったとおっしゃっていました。
ただ、目の前には
泣きながら見守っているご家族の方もいたので、
非常に厳しい状況であったとのことです。
蘇生中止は苦渋の判断で、
医療従事者にとっては
当然割り切れるものではないです。
この外科部長は、
若い医者達にこんな厳しい判断はさせられない、
自分が全責任を取り指示した、
とコメントされていました。
外科部長が若い医者たちに全ての判断を委ねるのではなく、
自ら責任を取る覚悟で明確な指示を出したことは、
リーダーシップの面からも
とても重要なポイントだと思います。
混乱とプレッシャーが極限に達する災害現場では、
全員が最適な判断をすることは難しく、
トップが冷静かつ迅速に決断を下すことで、
他の医療スタッフが迷わず次に進むことができます。
このようなリーダーシップは、
特に命に関わる現場では必要不可欠なのかもしれません。
災害医療におけるトリアージの導入は、
命に優先順位をつけるという冷徹な現実を突きつけますが、
それが「できるだけ多くの命を救う」ためのシステムであることを
私たちも理解し、支える必要があります。
また、医療関係だけでなく、どんな組織でも
リーダーシップの重要性は同じだと改めて感じます。
迷う部下たちに対して明確な方向性を示し、
最終的な責任は自身で取る姿勢は、
どの分野においても手本となるべきものです。
この外科部長の姿勢や言葉から、
命の重み、リーダーの責任、
そしてチームの在り方について
深く考えさせられました。